毎年11月に開催されるマカオGP。メインレースはF3ですが、サポートレースが充実しているのもマカオGPの魅力です。この記事ではそのサポートレースの見所を紹介します。
みなさん、こんにちは。マカオナビです。毎年11月にマカオGPが開催されているのはご存知かと思います。メインレースのF3のレース本番自体は1時間もかかりませんし、それまでの間はヒマ? どうやって時間を過ごせばいいの? と感じるかもしれません。ですが、マカオGPはF3以外のサポートレースが充実しているので、一日中、レース三昧の観戦を楽しむことができます。今回はそのサポートレースに焦点を置いた紹介をしたいと思います。
ハコ車の世界一決定戦
マカオGPはF1の2つ下のカテゴリーであるF3がメインレースとなっています。これは世界各地のF3チャンピオンと上位者が参加するF3ドライバーの世界一決定戦なので、F1への登竜門的存在です。事実、ここの勝者から何人ものF1チャンピオンやドライバーを輩出しています。
そのサポートレースがこれまたレースファンにはたまらないプログラムになっています。その1つが世界ツーリングカー選手権(WTCC)です。F1やF3はタイヤがむき出しのフォーミュラーカーの世界選手権ですが、これはいわゆる“ハコ車”。わかりやすくいえば市販乗用車の世界選手権です。WTCCはヨーロッパ、日本を含むアジア、アメリカ・ブラジルといった南北アメリカなど世界12カ国・地域で開催されていてマカオはその最終戦です。基本的にここでツーリングカーのチャンピオンが決まることがほとんどですので、ヨーロッパではマカオF3の勝者並みに注目されています。
どんな車輌が参戦できるかといいますと、12カ月に2500台、エンジンは1600ccのターボ、座席数は4席以上、全長は4.2メートル以上で、2駆です。サスペンションやウィングなどは公認されたものしか採用できません。参戦しているのはBMW、シボレー、セアトですが、ホンダは10月に開催された日本ラウンドから参戦を開始し、マカオでスポット参戦する予定です。来年からはフル参戦することが決まっています。
コックピットの様子
実はWTCCは、普通の車でのレースなので、特にヨーロッパでの自動車販売に大きく影響します。BMWは景気後退でF1からは撤退しましたが、自動車販売に直接結びつくツーリングカーからは撤退していません。いかにWTCCの影響力が大きいかというのがわかります。WTCCは改造が制限されていますので、基本車輌の性能がしっかりしていないと速い車にはなりません。BMWは3シリーズで参戦していますが、BMWの“走りの技術の結集”はこの3シリーズにあるとおもってもらってかまいません。ステータスを求めるならクラスが上の、5シリーズや7シリーズですが、ドライブが好きという人は3シリーズを購入しているのです。ではホンダはといいますと、シビックです。シビックは"ホンダのハコ車の走りはすごい"と印象付けるための世界戦略者、広告塔です。それだけにホンダの技術がてんこ盛りの車輌となります。走りを楽しみたいという人であれば、来年以降はシビックの購入を頭にいれてもいいかもしれませんね。
WTCCは1開催あたり2レース開催されるのが特徴です。また、車輌により重量ハンデキャップがあるのでぶっちぎりのレースというのがまずないこと、第2レースは「リバースグリッド」を採用し、第2予選のトップ10は第2レースでは逆のポジションでスタートします。例えば、第2予選がトップなら、第1レースはポールポジションから、第2レースは10番スタートということになります。こうすることでいつでも接戦が観客の前で繰り広げられることになります。
スーパーカーとスポーツカーのレース
マカオとの相性抜群の澤
次のサポートレースとして紹介したのが、Macau GT Cupです。GT=Grand Touringですのでスポーツカー、スーパーカーによるレースです。参戦車輌はフェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレン、アウディ、ロータスという豪華な顔ぶれ。最低でも500から600万円はする車がサーキットを駆け巡ります。
改造範囲はいろいろとレギュレーションで決められていますが、このレースはGTカーの迫力を楽しむのが一番です。夢の車が目の前を走っていくのは車好きにはたまらないものがあります。
このGT Cupですが2009年、2010年に澤圭太が連覇しています。彼はポルシェ乗りとして名を馳せており、ポルシェの性能を限界まで引き出すことができるドライバーです。昨年は2位だったので今年は再び優勝を狙います。2006年から2008年も連続して表彰台に上がっており2011年まで6年連続のポディウムですから、今年も普通に行けば澤の7年連続表彰台は確実でしょう。グランドスタンドのチケットを確保すればシャンパンファイトが見られる確率が高いと思います。
ホンダ車のエントリーが多いレース
WTCCではないですが、マカオGP用のツーリングカーのレースもあります。ホンダが幅を利かせていて、インテグラ、シビック、アコードが出場車輌のほとんどを占めます。そこにトヨタのアルテッツァ、シボレーのクルーズなどが走るという感じです。これはチームがホンダの車輌を購入して独自にレギュレーションの範囲で改造しているからです。
もう1つ。ホンダに実質、ワンメイクレースなのがMACAU/Hong Kong Interport Raceです。これはマカオと香港のドライバーだけによるレースで、レース車輌はインテグラかシビックのみ。逆に言えば、車輌性能のには大きな差が出ないので、速いドライバーと遅いドライバーがはっきりわかるレースともいえます。
シビック(左)対インテグラ
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軽快に坂を上っていきます
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オートバイのレースもあります
マカオに参戦していた故前田淳は2006年にイギリスのレースで命を落としました
レースですので、オートバイによるレースもあります。1000ccと1200ccによるスーパーバイクのレースです。マカオGPは公道を閉鎖して作られたサーキットですからクラッシュすれば即コンクリートウォールが待ち構えています。ライダーにとっては危険なレースです。事実、2005年にはマンダリン・オリエンタル・ベンド先の高速コーナーでクラッシュして病院に搬送後にライダーが死亡したということもありました。
その昔、マカオGPでのオートバイレースと日本人との愛称は最高で、1967年から1980年までの14年間で日本人ライダーが5連覇を含む10勝をあげています。それ以降は日本人ライダーは勝てていませんが、近年も日本人ライダーが参戦していました。メーカーでいえば、無論日本のメーカーが強いのはいうまでもありません。日本メーカー以外が勝ったバイクはドゥカティの3勝のみです。
ライダーに話を戻しますと、マイケル・ルターがここで7勝しているのですが、今年も彼が大本命です。
余談ですが、マカオはスクーターが多く街を走っています。昔はスクーターのレースがあったのですが、それは現在はなくなっています。
日本の製造メーカーが実質、レースを支配しています
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クラッシュすれば、体はコンクリートウォールの餌食になるので大変危険です
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いかがでしたか? このようにマカオGPはF3レース以外のレースがたくさん行われていますし、今回の記事では紹介しきれなかったレースもあります。公道を使ったサーキットですので観客席とコースとの距離が非常に近いですし、レース車輌には消音機能はありませんから迫力あるエンジン音を感じながらレースを楽しんでもらえればと思います。以上、香港ナビがお送りしました。
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記事登録日:2012-10-31